45 梅雨

 今年の梅雨明けは早かった。6月中に開けてしまうなんてことは、私の記憶ではなかったように思います。しかし、7月に入り、時々梅雨のような天気が続く時があります。晴れたと思ったら今度は猛暑が来て35度だ40度だと大騒ぎです。やはり地球は異常をきたしているのでしょう。
 梅雨時は誰もがうっとうしいと感じるでしょうが、自然の営みとしてはなかなか良いものなのです。雨は「恵みの雨」でもあるし、その後の強い日差しと相まって作物がよく実るのです。雨がないと大変です。日照りが続けば作物は採れなくなります。
 私たち現代に生きる人間は、とかく雨を嫌います。人工的なものについては、雨はよろしくないことが多いからでしょう。スポーツにしても様々なイベントでも、いや通勤や買い物にしても雨はうっとうしい。
 しかし、雨もなかなか良いものです。昔、北アルプスの山小屋のご主人は雨の中、3000mの稜線を下駄ばきで唐傘をさして歩いていたそうです。今なら登山装備に身を固めて、雨具を付けての縦走ということなのでしょう。それでも雨がやんでくれないかな、と思いながら歩くことが多いでしょう。しかし気持ちの持ちようで、山の楽しみは変わります。
 すごい土砂降りの時は停滞して(テントや山小屋に逗留して)動かないでしょう。そうではなくて、雲が流れ、時折、山が見えるような状況の稜線歩きは楽しいものです。刻々と山の姿が変わっていきます。立ち止まって登ってきた道を振り返ると、雨に煙って素晴らしくきれいな時がある。尾根を歩いていても雲の切れ間に目指す山頂が見えると、とっても勇気をもらえます。ピーカンに晴れていると、それも美しいのですが、単調です。雲が流れ、霧が湧き、次々に浮かんでは消える山々は幻想的とも言えます。
 これは人生においても同じではないでしょうか。単調な人生は飽きがくるようです。波乱万丈とはいかなくても、山あり谷あり、雨も嵐もある人生の方が面白いと思いますが、それは人によって違うので何とも言えません。ただ私は変化のある人生が好きです。自分でも振り返ってみると、紆余曲折がある方だと思います。
 晴れになれば、また違うことを思うでしょう。時は流れ、ものごとは変転する。それを見つめる人間も変わっていく。「人間は自然の一部なのだ」と考えてみれば、考えや気持ちの変化は当然なことのかも知れません。
 雨の庭。草や木が生き生きとしています。たっぷり水を吸って葉は雨で光っています。思い入れが強すぎるのか、樹木が喜んでいるようにも見えます。雑草までもが楽しそうで、庭全体にはびこってきています。

庭の花(赤とピンク)も雑草に推され気味です。

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