38 春を迎えて 

 年が明けて、身の回りの変化が大きく、少々時間が足りない事態に陥って(おちいって)います。夫婦でそれぞれ病気が出て、予定していたことが思うように動かない日々が多くなりました。妻は今、札幌の病院で舌がんの治療中です。入院の付き添いや諸手続きなどに私も札幌へ行き、私は私で前立腺がんの疑いがあるということで検査、PET診察などを同じ病院で行います。14,15日に続いて21、22日も札幌です。
 日ごろ病気はほとんどしないのでこのような事態になると案外弱いです。何しろ小学校5年の時に、おでこを切って1日入院しただけで病院とはほとんど縁がない生活をしてきたのです。一昨年の秋、76歳で左足首を骨折したのが初めての入院らしい入院でした。
 しかし、その後は次々と入院騒ぎが発生し始めたのです。昨年9月初めにスノーピークの山井社長らと白神山地に釣りに入ったのですが、二日目の朝、おしっこが出にくくなり、鰺ヶ沢中央病院に運ばれました。前立腺が肥大して尿道が圧迫されて尿が出なくなったのです。それから検査をして、ガンの疑いがあるということでまた検査です。
 年齢とともに病気とうまく付き合っていかなくてはならなくなります。物事が予定通りいかなくなることが多くなります。考えてみれば当たり前のことで、だんだん年を取り身体が弱っていく、という人生の大きな流れに逆らう方がおかしいのかもしれません。そしてまた、いくつかの病気とうまく付き合いながら生きていくということは、人間が成長できる良い機会となるようです。
 私は比較的気が短く、思い立ったらすぐ行動してしまう方ですが、それが少し落ち着いて、また多少のミスを計算に入れてゆっくりと歩を進めるようになってきたような気がしています。そうなれば、腹を立てる必要がなくなる。焦る必要がなくなる。体が弱い人や社会的に弱者と呼ばれる人の気持ちが、これまでよりは分かるようになってきたようです。
 いくら考えても、これまで過ごした人生よりこれから過ごす人生の方がはるかに短いのですから、もうジタバタしてもはじまりません。名誉もお金も何も役に立ちません。ただのジジイです。自分を飾って見せても楽しくはありません。ひょひょうと生きていきたいと思います。ずいぶん前に高校時代の校長先生のことをこのブログで書きました。先生は私に「春風駘蕩の男たれ」という色紙を書いてくれました。あの時の先生のお気持ち、心境が分かるようになってきたようです。
 人生100年なんていう言葉が勝手に走り回っていますが、100年でも90年でもあんまり変わりません。体が動けば大変結構なのです。ひと様に迷惑をかけず、ひと様のお役に立てれば本望です。
 そして、若い人に言いたい。若いということは希望です。これから何度でもやり直しができます。人生で言えば春ですね。青森も何となく空気が緩んできました。あと少しで雪が薄れ、新芽が出てきます。暖かい風が吹けば、気持ちが軽くなる。春は若い人にも年寄りにも良い季節ですね。

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