57 雪の青森

 この冬は雪が早いようです。夏が暑いと冬には雪が多い、と聞いたことがあります。果たしてこの冬はどうか、気になるところです。青森の方には悪いのですが、県外出身の私は、雪が楽しみです。雪が多い冬の生活は大変です。私もわかるようになってきました。でも、関東地方では平地で雪はあまり降りません。子どものころは雪が舞うと嬉しかったものです。
 1998年11月29日、私は初めて青森を訪れました。木村正枝理事長に呼ばれて新設の大学院の教授になるための面接に来たのです。翌朝、ホテルの窓から外を見ると雪が降っていました。朝食を済ませて外に出ると、なんと、30センチ以上積もっていたのです。すぐそばのコンビニに行くのも大変でした。東京から普通の革靴できたものだから、雪が靴に入って濡れてくる。ホテルの部屋に帰って靴下を干し、靴から水を出す始末でした。「大変なとこにきたもんだ」。心底そう思いました。これが初めて青森に来た印象です。
 でも、スキーや雪山が好きだったので、これなら12月に入ると十分スキーができる、と気を取り直し、木村理事長に会いに大学に行ったのです。翌年4月から大学院で3年間教えて、東京の大学に移りましたが、青森の雪はスキーには最高の雪質です。滑りやすくターンしやすい。八甲田の山スキーも楽しみました。64歳でSAJの2級を取りました。
 それから12年後、縁あってふたたび青森大学に勤めることになり、2014年4月に理事長に就任しました。そしてさらに10年、あっという間でした。スキーの方は74歳の時に1級に合格しました。青森に赴任したおかげです。
 雪国では雪は生活には邪魔かもしれません。が、日本の半分以上の県では雪は憧れなのです。世界に目を向けても、この地球上で雪がある国は少ない方です。お隣の中国でも凍てつく大地はあっても雪が降るところはあまりありません。
 そうです。雪に憧れる人は世界にはたくさんいるのです。そこに着眼すれば、世界から人を呼べることに気が付くはずです。雪は絶好の観光資源です。雪を楽しく、雪を幻想的に演出すれば良いのです。そして一気に春が来て、短い夏にねぶたがある。海にも山にも豊富な食べ物がある。水がうまい。酒がうまい。
 青森県は短命県で、経済的にも日本中でビリの方だなど、悲観的な数字ばかり気にする方もいるのですが、そうした統計は直そうとすれば直ります。短命については長野県が良い例です。単なる統計に一喜一憂するのではなく、良いところを探した方が楽しいのではないかと思います。
 さらに、何度も書いていますが、これからのITの時代は地理的距離がハンデにはならなくなります。青森に本社があり、東京やニューヨークに支社がある、ということも近い将来は可能になるでしょう。特に自然豊かな青森は観光や教育などの分野では大きなアドバンテージを得るようになるでしょう。しかし、ただぼんやりしていてはだめです。行動、挑戦する心意気がなければせっかくのアドバンテージも一気にマイナス要素に転落するでしょう。
 考えて考えて、そして前進して前進して、青森を世界有数の住みよい土地にしたい。夢は大きく持った方がよい。青森は今、大きく変革し、飛び立つ時なのです。

 

 

 

 

 

冬を待つわが家のネコ3匹(3匹はオス5歳の兄弟)

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