40 人間の知恵

 理事長室の机の上にインドから持ち帰ったパズルのような木工品が置いてあります。実は長い間、押し入れの隅に置いてあったのですが、ふと思い出して理事長室に持ってきました。
 添付の動画を見てもらうとよくわかるのですが、ちょっと不思議な品物です。木の枠があってそれは片方に傾いているのですが,算盤(そろばん)の玉のようなものを傾いた枠の下側に置くと、それが自力で坂を上り始めるのです。
 どんな原理なのか良く分かりませんが、物理の先生ならわかるのだと思いますが、枠組みの片方が明らかに低いのに、算盤の玉のようなコマのようなものが自力で登っていくのですから、どうなっちゃっているのかちょっと面喰い(めんくらい=何だろうと驚く)ます。
 この木工品で遊んでいると、人間の知恵というものが結構すごいものだな、と思います。考えればいろいろなことができていく、ということでしょう。
 これは私たちが生きていくときに必要なことなのですね、きっと。あらゆることに通じます。ちょっとした工夫、なのです。日常生活でもビジネスでもこうした知恵を働かせれば楽しいですね。
 お母さんが食事を作る時、例えば醤油を切らしたとする。お母さんは塩やだしを使ってそれなりの味を作りだします。ビジネスマンもそうです。昔、ソニーの社員で窓際族(まどぎわぞく=会社から使い物にならないとされ窓の横の机で仕事なしで一日過ごす人のこと)になった方々が一念発起(いちねんほっき=思い立って、頑張ること)してウオークマンを作り、世界的な大ヒットとなり、今のIpodに繋がっていく製品を創り出したことがありました。やる気がなくなったと思われた人たちでしたが、何人か集まって、会社を見返してやろうと工夫を凝らした結果です。
 ウクライナのデジタル庁長官は30歳代です。彼らはあらゆる知恵を振り絞ってAI軍隊と呼ばれる新しい軍隊を作っています。世界中の大企業に募金を求め、SNSで公開しています。こうすることによって大企業の姿勢が問われる結果になり、結局、大変な金額が寄付されています。また、あらゆるハイテク手段を使って軍事攻撃を仕掛けています。ロシアの圧倒的な軍事力の前に簡単に首都キエフが陥落すると思われたのに、頑張っています。これも、追い詰められた人たちが知恵を振り絞っているからです。
 人間の考える力は無限です。考え、工夫し、挑戦し続けることが豊かな世界を作るのでしょう。だが、場合によっては間違った方向に走ってしまうことがあります。そこで方向転換を促すのも人間の知恵の力です。地球環境問題や核戦争の恐怖など大きな課題からビジネスの課題まで、今も知恵と工夫が求められています。
 簡単な木工品ですが、知恵を絞れば苦境を脱することもできるし、踏んばれば何ごともかなう、ということを私たちに教えてくれているようです。ところで、この木工品はいつの時代に作られたのでしょうかね。現代文明が興るはるか前のことだとは思いますが。

タイトルとURLをコピーしました