47  足元からの国際交流

 ロシアのウクライナ侵略で世界秩序の歯車が大きく狂っています。経済もうまく回りません。何でこんな戦争を始めたのか、どうにも理解できません。プーチンは何を考えているのでしょうか。ウクライナは世界が守らなければいけないと思います。
 しかし一方で、世界にはウクライナに似た状況に置かれている人々がたくさんいます。ミャンマーのロヒンギャ問題、アフガニスタンのタリバン政権の女性圧迫、パキスタンの洪水など多くの人々が圧政や自然災害に苦しんでいます。SDGsで指摘されているように小学校にいけない子どもたちは5,900万人と言われています。
 ウクライナ問題は世界秩序や経済などに大きな影響があるので、日本でも連日報道されています。しかし、アジア、アフリカ、南米などにはウクライナと似た状況に苦しんでいる人々がたくさんいることを忘れてはいけません。
 そんな中で、ユニークな事業を続けているKids’ Asian Union CampというNGOがあります。北東アジア5か国(日本、韓国、中国、モンゴル、ロシア)の子どもたちを集めて毎年1回、キャンプをしているのです。各国持ち回りで一国10-20人の小中学生や高校生を集めて、大人も付き添って自然の中で共同生活をします。
 面白いのは、言葉です。子どもたちはみんな母国語で話しあいます。日本人の子とモンゴル人の子が日本語とモンゴル語で渡り合っています。大人であれば通じないのですが、子どもたちの間では通じるのです。不思議だ、と主催者の方が言います。対面で身振り手振りがあるので勝手に言い合ってもわかる、のでしょうか。
 なぜ話が通じるのでしょうか。一つの要因は偏見がないことです。人は成長するにつれて様々な知識を得ますが、同時にまちがったことや偏見も身に着けてしまいます。子どもたちにはその偏見がほとんどなく、人と人がじかにぶつかりあうことができる。時に誤解はあるけれど、それは話し合えば解決できます。子どもたちは記憶力が大人よりはるかに良い。それに加えて偏見が少ない。だから、子どもたちは短時間で複数の国の単語を覚え、比較検討できてしまうのでしょう。もっと言えば言葉はいらなくて、身振り手振りでだいたい済ましてしまうのかもしれません。でも、これって世界平和の第一歩じゃないだろうか・・・。
 来年は日本でキャンプを開催する予定なのですが、青森山田学園の東京キャンパスをベースに千葉でキャンプをしたいという申し出があります。私は大賛成です。費用がかさむという課題はありますが、青森ではどうか、と提案するつもりです。青森山田の児童、生徒、学生、教職員、卒業生など興味がある人はぜひ手伝っていただきたい。青森山田の中学生や高校生には再来年の外国で行われるキャンプに参加してもらいたい、とも思っています。
 この国際キャンプのほか、来年1月にはベトナム大使館の方々が20人程度、親子連れでスキーを習うために青森に来る予定です。学園としては、雲谷のヒュッテを無償でお貸しようと思います。中学や幼稚園などとも何らかの交流ができればいいな、と期待しています。
 青森山田学園の生徒、学生、卒業生は様々な国に出向いてお世話になっています。そのお礼に何か返したい。ささやかながら、こうした国際交流を少しずつ進めていきたい。留学生も増やしていきたい。それが、青森山田、そして青森県の新しいブランドになればもっといいのではないかと思います。

2012年、モンゴルで開かれた国際キャンプ
(この時は北朝鮮も参加していました)

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