青森大学社会学部の「社会調査実習」(選択科目、担当・櫛引素夫教授)の2025年度の授業がスタートしました。4月16日には大学の周囲の幸畑団地で「まちあるき」を行い、団地の成り立ちや特徴、景観から読み取れるさまざまな情報について理解を深めました。
社会調査実習は3年生を対象に開講しています。社会学部で取得できる「社会調査士」資格の最終関門と言える科目で、社会調査の企画から実施、報告書の作成、そして報告会を開くプロセスを体験します。
この科目は、青森大学が2013年度にスタートさせた「幸畑プロジェクト」を支える柱でもあります。交流をベースとして教育・研究・地域貢献を進める同プロジェクトは、2013年、2018年、2023年に幸畑団地全域の空き家調査を実施。その結果は東北地理学会などで報告され、大学の紀要(論文集)でも発表されてきました。また、幸畑団地への移住者の意識や体験、団地内の家の形から建築年代を推定するカタログづくりなど、さまざまなテーマを選んで調査を実施し、成果を「幸畑団地地区まちづくり協議会」など地元の方々に還元してきました。
本年度の実習は6人が履修し、「まちあるき」で新築の家が居並ぶ光景とその特徴、地区ごとの環境と多様性、今後の暮らしの課題について学びました。また、途中で出会った幸畑団地地区まちづくり協議会の張山英和・事務局長や運営委員メンバーらと歓談しました。
学生たちからは「何も考えず見ていた景観にもさままな視点や考えられることが潜んでいて、良い刺激になった」「まちの特徴を、自分の目で確認することでしか味わえない感覚がある」「建物の特徴や街の雰囲気の違和感といった『なぜ』に気づけるようになるにはどうしたらよいのか」といった声が上がっていました。