プロジェクトの概要
本学が参画する研究・開発プロジェクトがRISTEXに採択
秋田県立大学の渡部諭教授を研究代表者とする研究開発プロジェクト「高齢者の詐欺被害防止を防ぐしなやかな地域連携モデルの研究開発」は、本学社会学部の教員らが参画するプロジェクトで、平成29年度の国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)/社会技術研究開発センター(RISTEX)の戦略的創造研究推進事業「安全な暮らしをつくる新しい公/私空間の構築研究開発領域」に採択され、平成29年10月1日から3年間を研究期間として社会資源の異なるフィールドに適した地域連携ネットワークを構築し、セルフディフェンス力を向上させることを目標として研究開発を推進することとしている。
このプロジェクトは、秋田県立大学、青森大学、慶應義塾大学医学部、京都府立医科大学の共同プロジェクトで、本学はプロジェクトの中の実装部分を担当する。
実装とは、研究に基づいたフィールドテストを含む実際の高齢者の詐欺被害を減少させるための活動で、青森県と神奈川県がフィールドとなっている。本学は、その両フィールドの責任校となっている。神奈川県の実装は社団法人シニア消費者見守り倶楽部であるが、本学がフィールド全体を統括することになっている。
本プロジェクトは、3年間で高齢者の詐欺被害の20%減少を目指している。本プロジェクトの概要は以下のとおりである。
研究の目的1: 詐欺被害等の実態
特殊詐欺(オレオレ詐欺、架空請求、還付金詐欺、金融商品等取引詐欺等)や悪質商法の被害額は減少傾向ではあるが、平成28年で406億円と依然高額であり、全国的には対策は十分に功を奏していない。本プロジェクトは、青森地域と神奈川地域を対象としこの被害を減少させることを目的とする。
青森県における特殊詐欺発生状況(平成29年)
青森県警ホームページより
- 認知件数:56件(前年比マイナス12件)
- 被害額 :約7,200万円(前年比マイナス約1億3,100万円)
<特徴>
- 被害者の約6割が65歳以上の高齢者
- 女性に多い傾向
研究の目的2:心理学及び医学的知見を活用して詐欺被害の減少対策に役立てる
高齢者の詐欺被害が減少しない理由
- 加害者側の巧妙化・悪質化する手口と対照的に、被害者側の「自分は騙されない」と過信する心理特性
- 情報不足や判断能力の問題等から本人が被害に気付き難い
- 実際に被害に遭っても公的機関等に相談しないという行動特性
「間」にしなやかな紐帯を構築する
実装グループの役割
実装グループは、様々な形で地域での見守り体制づくりを目指す
青森フィールド:青森大学
- 青森大学と連携協定を結んでいる組織を中心に、「連携協議会型」の見守り体制構築を目指す
- 神奈川フィールドと連携し、市民ボランティア養成講座の実施
- 若者向け消費者教育の実施
神奈川フィールド:一般社団法人シニア消費者見守り倶楽部
- 市民ボランティア養成講座を実施し、市民サポーターを育てる
- シニア向け消費者教育の実施
実装グループ・青森フィールドの役割
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健常高齢者の詐欺に対するセルフディフェンス力の構築
認知機能低下高齢者を支援するためのサポーターの育成