32 秋の気配

 千葉県の房総半島にある我が家は築80年ほどの古い民家です。多少の改造をしましたが、ほとんど昔のままです。かやぶきは銅板に変わっています。
 9月に入ったある夜、寝ていると屋根に何かものが落下したような大きな音がした。なんだろう、と思ったが次の瞬間、「栗だ」と気が付いた。庭にある大きな栗の木がもうたくさん実をつけている。昼夜を問わず栗が落ちてくるのです。かなり大きな音がします。移り住んだはじめのうちは何が起こったのかと驚きましたが、もう慣れてきました。
 この栗の落下音を聴くと、秋を感じます。庭に出ると、栗の木のある辺り一面に栗の実、イガが落ちてます。食べるとおいしいので、せっせと栗拾いをします。ゆでるだけで食べられます。少し柔らかいのはスプーンですくい取ります。
 この時期、彼岸花が花をつけ始めます。うちのは白い彼岸花です。これもまたきっちりと時期を間違わずに、お彼岸の時期に咲くんですね。いつどこで芽を出していたんだろうか、全く気が付かないうちに急に茎をのばし、花をつけます。不思議な花だと思います。そういえば、4,5年前には赤い花だったんですが、いつの間にか白い花だけになっています。
 房総は気温が高いので、作物は青森より早く実ります。米は8月中には収穫は終わります。夏の間の草や樹木の伸びは驚異的です。1,000坪もある庭の草刈りは5月に1回、夏に2,3回はしないとすぐに雑草で埋まります。人を頼まないと刈りきれません。
 汗を流して刈払い機を振り回しているうちに、栗が落ち始め、秋が忍び寄ってきます。桜の葉はほとんど落ちています。先ほども落ち葉を掃いてきました。
 ところで、房総半島もかなり自然度は高いのですが、青森にあって房総にないものは、何か。それは「雪」です。青森では雪は厄介者ですが、雪がない土地から見るととてもうらやましいのです。先日マレーシア大使とお話をしていた時に、大使は「青森には雪がある。いいですね。マレーシアの人は、一生に一度は雪に触れてみたいと思っています」と言っていました。雪への憧れは、世界中同じだと思います。かなりの国の方々は雪に憧れている。
 問題は、青森の人が世界の人のこうした気持ちが分かるかどうか、です。分かれば、雪を観光に利用できるようになるでしょう。雪以外にも青森には豊富な自然遺産があります。
 こうした遺産を観光に生かそうと、青森大学は来年度からフィールド・ツーリズムの専攻コースを設置します。自然を生かした観光の専門家を育てるのが目的です。今はコロナで観光客は少ないのですが、コロナはいずれ収まります。その時になって準備を始めるのでは遅い。コロナに苦しむ今こそ、コロナ明けの準備をしておくべきなのです。
 フィールド・ツーリズム・コースの新設はコロナ明けに始まるであろう新たな観光事業への布石です。2,3年たてば、今とは全く違った世界が見えてくるでしょう。
 さて、私も骨折などでスキーを2シーズン棒に振っています。きたるべきシーズンに備えてスクワッドなどのトレーニングをはじめました。雪が楽しみです。
 
  庭一面に落ちている栗。イガが屋根に落ちる音が以外に大きい。中型ダンボール一杯の収穫でした。


清楚ながらあでやかな彼岸花。日中は頭を垂れていますが、朝夕は立ち上がります。

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