27 ワクチン接種

 6月28日に2回目のワクチン接種をしました。これで若干(じゃっかん)安心です。二日目に少し熱が出たようで、だるい気分でした。三日目の今日はほとんど回復しています。副反応が少なくて良かった。でも、ここまで来るのにいろいろなことを考えました。
 4月中ごろに住民票のある東京都文京区から接種の通知が来て、電話かインターネットで申し込みなさいという。指定された日にインターネットを開けても全く通じない。そして1時間もたたないうちに「締め切りました」と表示。その次に指定された日に連絡しても同じ状況でした。
 腹が立ちましたが、そこでふと考えてみた。そういえば何十年か前に石油不足となり、なぜか「トイレットペーパーがなくなる」というデマが飛び、日本中が大騒ぎになったことがありました。あの時も我勝ちに買いに走ったのですが、何かみっともなかった。日本人がみんな自分のことばかり考え、自分の利益だけに向かって走った。
 あの時の後味の悪さがよみがえり、私はワクチン接種に焦る気持ちを抑えました。人々が接種に走るのが悪いのではなく、不安に追いやるような「早い者勝ち」という応募方法を採用した国や自治体が悪いのだ。そんなことを考えながら接種への焦りを抑えました。時間がたてばそのうちワクチンも余裕が出てきて誰でも打てるようになるだろう。それまで静かに待とう。そう思ったのです。同時に、理事長という立場から絶対にコロナにかかれないぞ、という思いを強くしました。
 そうしたら自衛隊が集団接種をすることになり、申し込みに手間取ることもなくスムースに接種まで進みました。5月24日の第一回接種も会場について30分で終わりました。文京区での接種騒ぎは何だったんだろう。焦らなくてもよかったんだ、やはり。
 ところでコロナをめぐる話をもう一つ、わが青森大学がこのコロナの治療薬を開発していることをご存じでしょうか。薬学部の瀬谷司教授が国立感染症研究所と共同で開発している薬で、コロナの予防ではなく罹患(りかん)した後に重症化しないための薬です。重症化を防げれば、コロナも普通のインフルエンザとそう変わりはありません。大変重要な研究開発なので学園としても支援に力を入れています。
 瀬谷教授は免疫の専門家で、免疫の力を使ってガンの治療に役立てる新薬を開発しています。ノーベル賞を受賞した本庶佑(ほんじょたすく)先生が開発したオプチーボの後継薬として期待されています。昨年末、大学発ベンチャーとして青森大学が中心となって新薬開発のための会社を立ち上げました。株式会社先端免疫治療開発研究所(IAI)です。
 ところが、その研究がコロナにも役に立つということで急遽、国からも声がかかり、研究開発をはじめたのです。青森大学薬学部の研究活動はこのように世界最先端の事業に挑戦しています。瀬谷先生は「若い後継者を育てたい。青森から発掘できればうれしい」と話しています。
 免疫の強化はあらゆる病気に役に立つでしょう。私も新しい研究開発の後継者を育てる努力をしたい、若い研究者を養成したい、と心から願っています。青森大学薬学部から世界に役立つ研究者が羽ばたいていく。そんな素晴らしい夢を実現したいですね。

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