10 コロナ後と5Gの時代②

 青森に来て覚えた歌に「津軽海峡・冬景色」があります。おそらく北(北海道)へ帰る女性の心情を歌ったのでしょうが、そこに描かれている津軽の印象はいかにも暗い。「青い山脈」とは真逆の風景です。
 吉幾三の「俺ら東京さいぐだ」は田舎を飛び出したい若者の心情をコミカルに歌い、最近の「TSUGARU」は、東京さ行った若者よ、たまには帰ってこい、という歌ですね。
曲は違うけれど、「津軽海峡・冬景色」と吉幾三の二つの歌はいずれも昭和の匂いがする歌です。同じ昭和でも、暗い戦争が終わったという新時代に歌われた「青い山脈」のような明るい歌とはだいぶ違います。青森が暗い雪国、最果ての地、というイメージから、それまでの時代を切り捨て、全く新しいイメージになるのはいつのことでしょうか。
 私はそう遠くないと思っています。コロナ禍以後、青森はあらゆる場面で豊かで明るい地域というイメージに変わるでしょう。「TSUGARU」で歌われているように、「喰うもの美味(目べ)し、酒コまだ、三方海コさ囲まれて」いるうえ、高速道路、新幹線、飛行機いずれの交通網も完備している。台風や地震、梅雨などの被害、天変地異も他の土地に比べれば極端に少ない。
 これだけ住みやすい要素が詰まっているのに、なぜ人口が減り続けているのだろうか。簡単に言ってメディアに煽(あお)られた「錯覚」でしょう。東京の方が住むのに便利、という錯覚。給料が高い、という錯覚。格好いい、という錯覚です。外から東京の生活を見ているとそのように見えますが、実際に住めばそうでもない。東京で本当に豊かな生活をしている人はほんのひと握りの人たちで、テレビに出てくるような職業についている人たちでしょう。ほとんどの人たちは名も知れぬ企業に勤め、通勤電車に揺られ人生の大半を過ごします。
 それともう一つ、人口が減り続けているといっても、青森市に人口の変遷を見れば、現在は1975年の頃より多いのです。80年に28万人になり、その後、合併を経て、現在の27万余になっているわけです。将来への希望をふさぐような数字ばかり考えないで、昔と比べてそう慌てるほどではない、などと前向きになれないものか。
 前向きになれそうなことの一つがテレワークの普及です。コロナ禍によってテレワークを体感した後、東京に住んでいる人たちの間に「通勤に浪費している時間」がもったいなく感じられるようになっています。家族を放りだして夜中まで働くことの意味が分からなくなっています。そうです、東京は住み易い、という錯覚が崩れはじめているのです。
 間もなく、大都会以外の、地方と言われる地域の見直しが始まると思います。青森は「魅力的な地域」という点では、国内でかなり上位に入るでしょう。「遠い」というハンディも5Gの時代には解消されるはずです。青森は、今から5年後、10年後の時代に備えなくてはなりません。
 次は、5G時代での日本の変化について考えてみたいと思います。

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