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地域公共交通

このページでは、2008年から取り組んでいる大鰐町の公共交通活性化に向けた取り組みについて紹介します。

大鰐町の公共交通をめぐる問題

津軽平野の南端に位置する大鰐町は、旧羽州街道である国道7号線、JR奥羽線、弘南鉄道大鰐線などが通る交通の要所です。しかし、町の中心街と周辺部とをつなぐバス路線では恒常的な赤字が続いています。

「利用者減少→利便性悪化」の悪循環

その主な理由は、人口の減少とモータリゼーションの進展です。さらに大鰐町の場合、民間バス会社による路線バスと町が運営する無料のバス (患者輸送バス) がほぼ同路線を走っているなど、交通機関相互の連携不足も理由としてあげられます。

表 町内を走る路線バスの乗車人員数 [単位:人]

路線
2004
2005
2006
2007
2008
大鰐営業所〜高野新田 (高校経由)
27510
26184
27455
21750
14224
大鰐営業所〜島田新田 (早瀬野経由)
14328
13265
10897
10161
6479
大鰐営業所〜駒の台 (高校経由)
19162
17427
15526
15432
14739
大鰐営業所〜スキー場
(2007年5月廃止)
4153
3585
3217
1291
大鰐営業所〜黒石駅*
(2008年4月廃止)
14832
13618
12725
13252
4508
大鰐営業所〜平賀駅*
(2004年4月廃止)
368

出所:大鰐町企画観光課資料

その結果、利用者が減ることで採算性が悪化し、それを補うために減便すると利用者を減らしてしまうという悪循環が起こっていました。赤字路線を維持するために町は運行経費を補助しており、町財政の負担拡大にもつながっていました。

地域の足を守る

公共交通の衰退は、高齢者や子どもの生活の足を奪うだけでなく、地元商店街の衰退や市街地の空洞化、自動車から排出される二酸化炭素の増大といった社会問題も生むことが予想されます。そこで、町役場や地元のまちづくりグループ、NPOと協力し、使い勝手が良くかつ低コストで運営できる公共交通機関の実現にむけて取り組みました。

2008年度「地方の元気再生事業」

青森市にあるNPO法人「NPO推進青森会議」が、NPO法人「グリーンエネルギー青森」や大鰐町のまちづくりグループ「OH!!鰐元気隊」と協力し、内閣府「地方の元気再生事業」の採択を受けて実施したものです。

柏谷は主に町民アンケートやワークショップを通じて住民の外出・移動の実態を把握したほか、先進事例の調査、オンデマンドバスの社会実験、関係者への聞き取りとネットワーク化などに参加しました。調査には「社会学専門演習」を受講した3年生にも参加してもらい、その成果を翌年の卒業論文で発表しました。

2009年度「大鰐町地域公共交通総合連携計画」策定

前年のNPOの調査・政策提言を受けて、大鰐町が公共交通の計画作りに乗り出しました。国土交通省の補助を受けながら、町全体の公共交通再構築の指針となる「総合連携計画」を策定しました。

柏谷は、「大鰐町地域公共交通会議」の委員として住民ワークショップや連携計画の策定に携わりました。

デマンド型バス・タクシーを導入

実証運行チラシ検討の結果、大鰐町の場合はデマンド方式の交通システムが適しているとの結論が出ました。運行1時間前までに予約が必要となる代わりに、運行便数を大幅に増やし、運賃も一律 (1乗車あたり200円) に設定して、利用者の利便性を向上させることができます。地元のタクシー会社の協力を得て、2010年から順次、デマンド型バス・タクシーを導入しています。

柏谷は路線・ダイヤ編成のための住民からの意見聴取や、実証実験の効果・課題についての沿線住民アンケートなどに関わりました。また、ゼミに所属する学生が現地調査に参加し、そこで得られた結果を卒業論文にまとめています。

デマンドバスの使用車両担当者へのヒアリング

高野新田線 (愛称:スネカラバス・めんちゃ号)

2010年10月1日より、町中心部から居土・折紙・高野新田地区に向かう路線でデマンド型バス (愛称:スネカラバス・めんちゃ号) の運行を開始しました。実証実験は2011年9月までの1年間続けられ、有効性が確認できたので、2011年10月からは本運行に移行しました。

  • 「スネカラ」とは地元の言葉で「足」、「めんちゃ」は沿線にある沢の名前です。この愛称は、大鰐第2小学校の子供たちに考えてもらいました。

表 めんちゃ号実証運行実績 [2010年10月〜2011年9月]

年月
運行本数
乗車人数
1日あたり平均
1便あたり平均
2010/10
227便
850人
27.4人
3.7人
2010/11
269便
1172人
39.1人
4.4人
2010/12
317便
1497人
48.3人
4.7人
2011/1
316便
1305人
42.1人
4.1人
2011/2
275便
1235人
44.1人
4.5人
2011/3
345便
1457人
47.0人
4.2人
2011/4
332便
1296人
43.2人
3.9人
2011/5
319便
926人
29.9人
2.9人
2011/6
318便
973人
32.4人
3.1人
2011/7
297便
853人
27.5人
2.9人
2011/8
330便
904人
29.2人
2.7人
2011/9
302便
872人
29.1人
2.9人
合計
3647便
13340人
36.5人
3.7人

島田線 (愛称:スネカラバス・シャモロ号)

2011年10月1日より、町中心部から早瀬野・島田地区に向かう路線での実証運行を開始しました。2012年4月には本運行に移行する予定です。

  • この愛称は、大鰐小学校の子供に考えてもらったものです。沿線に養鶏施設のある大鰐産の地鶏「シャモロック」にちなんで名付けられました。

参考URL