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市町村別CO2排出量

なぜ市町村別CO2排出量推計が必要か

地域で地球温暖化対策を進めるにあたって出発点になるのは、温暖化の原因となる温室効果ガスが地域でどのくらい排出されているかを知ることです。しかし、データ入手の困難さや人手不足等の理由から、市町村レベルの温室効果ガス排出量の把握は進んでいません。

そこで、一般に入手が容易なデータから青森県40市町村の2006年度エネルギー起源二酸化炭素の排出量推計を行ってみました。

推計方法

推計は、環境省が作成した「地球温暖化対策地方公共団体実行計画(区域施策)策定マニュアル」第1版に準拠して行いました。データの入手の容易さを考慮して、部門ごとに以下のような推計方法を用いました。

部門
推計方法
産業部門
(製造業)
県全体のCO2排出量を製造品出荷額で按分
産業部門
(非製造業)
県全体のCO2排出量を従業者数 (建設業・鉱業の場合)、農業産出額・漁獲金額 (農林水産業) で按分
民生家庭部門 家計調査による1世帯あたりエネルギー消費量を、世帯数・世帯構成で補正して積み上げ
民生業務部門 県全体のCO2排出量を業務系建物の床面積で按分
運輸部門 道路交通センサス結果から求めた人口1人あたりの自動車CO2排出量を、車種ごとに積み上げ

結果

市町村別のCO2排出量は、以下のように推計されました。他の推計方法と比較した結果、推計方法や使用したデータの違いによって結果には若干の相違があるものの、地域の温暖化対策の指針としては十分な有効性があることが確認できました。

2006年の市町村別エネルギー起源CO2排出量 (単位:千トン-CO2換算)

市町村名 産業部門
(製造業)
産業部門
(非製造業)
民生家庭 民生業務 運輸部門 総計
青森市
352
73
748
560
521
2253
弘前市
652
78
421
309
336
1796
八戸市
2077
94
585
409
480
3646
黒石市
122
17
78
56
70
344
五所川原市
273
30
144
95
129
670
十和田市
220
42
149
149
145
705
三沢市
195
30
105
49
91
470
むつ市
62
24
166
97
130
478
つがる市
18
36
82
41
84
260
平川市
157
21
68
29
64
338
平内町
35
12
32
6
24
109
今別町
1
2
10
2
7
20
蓬田村
-
5
7
1
6
19
外ヶ浜町
11
6
19
5
14
56
鰺ヶ沢町
8
8
29
17
27
89
深浦町
4
9
24
12
23
71
西目屋村
-
2
3
-
3
8
藤崎町
20
11
34
15
30
110
大鰐町
12
7
26
15
22
82
田舎館村
24
5
16
4
16
65
板柳町
17
12
33
11
34
107
鶴田町
41
11
32
7
32
123
中泊町
4
13
32
6
30
85
野辺地町
18
5
37
16
33
110
七戸町
21
13
41
16
39
130
六戸町
36
14
23
20
23
116
横浜町
50
18
12
3
11
94
東北町
34
25
43
16
43
161
六ヶ所村
57
15
24
36
25
156
おいらせ町
144
17
53
35
50
300
大間町
7
5
14
7
13
46
東通村
25
8
16
9
16
73
風間浦村
6
1
6
3
5
22
佐井村
2
2
6
2
5
18
三戸町
67
14
27
13
26
146
五戸町
88
17
42
12
42
200
田子町
27
11
14
4
15
70
南部町
54
18
45
10
44
172
階上町
43
8
31
9
30
122
新郷村
1
6
6
1
7
20
青森県計
4983
743
3285
2105
2745
13860

データ利用上の注意点

本推計は、一般的に入手が容易なデータを活用し、特別な知識がなくとも排出量が把握できることを主眼として行われたものです。データの精度としては、以下に示すようないくつかの限界があります。

  • 青森県の排出量から按分した部門 (産業部門、業務部門)の排出量には、業種構成や事業所の規模などの地域特性が反映されていません。
  • エネルギー消費原単位からの積み上げをした家庭部門・運輸部門でも、利用するデータや補正方法によって結果には差が生じます。
    • 例えば家庭部門の排出量は、青森市の世帯あたりエネルギー消費量を、単身世帯割合と都市ガス普及率で補正して算出したものです。したがって、家庭でのエネルギー消費に影響を与えているはずの以下のような要因は、この推計方法では考慮に入っていません
      • 市町村ごとの気象条件のちがい (気温・積雪量など)
      • 一戸建て/集合住宅の構成比
      • 都市部/農村部のライフスタイルの違い
      • 特定地域での省エネ努力
  • 各部門ごとに、推計の対象にしていないCO2排出があります (例:地域ごとの分割が困難な、鉄道運行から排出するCO2など)。

本データの利用にあたっては、上記の限界を考慮して、市町村ごとの排出量の特徴 (すなわち、どの部門の排出量が大きな割合を占めるのか。どの部門の対策に重点を置くべきか) を把握することを主眼としていただきたいと思います。

詳しくは...

この研究成果は、論文にまとめて発表しています。詳しくは以下のページをご覧ください。

環境省の「簡易版」マニュアルについて (補足)

2010年8月、環境省より「地球温暖化対策地方公共団体実行計画(区域施策編)策定マニュアル(第1版)簡易版」が発表されました。簡易版マニュアルは規模のより小さな市町村向けに、温室効果ガス排出量の推計などについて簡易な方法を示したものです。

「簡易版」では、民生家庭部門で世帯数・世帯構成による補正を行わない (1世帯あたりのエネルギー消費量は都道府県ごとに一律と仮定) など、推計精度よりも推計作業の容易さを優先した推計方法を採用しています。