卒業生インタビュー

卒業生
インタビュー

卒業生インタビュー

第11回 向谷地史拓(むかいやちふみひろ)さん

第11回目は、県内高校で教員として活躍する卒業生にインタビューしました。

mukaiyati-tab

青森県立大湊高等学校

向谷地史拓(むかいやちふみひろ)さん  (常勤講師・教科 商業)

経営学部経営学科卒業(平成22年度卒業)

取材日:平成28年12月18日

 

向谷地さん 卒業生インタビュー、とてもおもしろい企画ですね。インタビュー相手を、笑っていいともの「テレフォンショッキング」みたいに、次の卒業生を指名できませんか?次は私的演劇界の大スター、岩根周平さんをリクエストします。冗談です(笑)。でも、指名できるようになったらもっと面白いと思います。

 ―――とても面白いですね!検討させてください。

向谷地さん よろしくおねがいします。

 ―――早速ですが、現在のお仕事について教えて下さい。

向谷地さん はい、教科は商業、授業は情報処理関係です。エクセルやワードはもちろん、パワーポイントなど様々なソフトを使っています。動画像編集とか、音声の編集なんかもやります。他にも、パソコンを組み立てたり、ITパスポート試験など検定の対策を手伝ったりしています。

授業以外では生徒会の顧問も担当しています。

 ―――生徒会というと行事の企画とかですか?

向谷地さん 主に行事の企画・運営ですが、普段から自然と生徒会室に集まってみんなで何かしらやってますね。最近は、市のまちづくりフォーラムや市内高校合同イベント実行委員会など、外部の活動にも参加させていただいています。

 ―――毎日集まって?

向谷地さん ほぼ毎日ですね。行事が近づくと、生徒は事務作業や企画準備に追われていますが、なにより楽しそうなので私も苦にはなりません。

 ―――どういった経緯で大湊高校勤務になったんですか?

向谷地さん 大学卒業後、八戸商業高校で1年働かせてもらって、その年の3月に近くの高校で転勤先を探して、次の年には大間高校に転勤しました。全然近くないという(笑)それで、現在大湊高校です。

%e5%90%91%e8%b0%b7%e5%9c%b001

 

 ―――働いてみてどうですか?

向谷地さん 人と人のつながりの大切さを感じます。1回だけのつながりでも、色んな人と話した経験が今の自分を作っていると思います。学校っていう場所は結構特殊だと思うんです。どうにか自分の領域だけで生活できるじゃないですか。

学校に行ったらいつもの友達と他愛のない話をして、家に帰って寝て起きてみたいに。

 ―――そうですね。

向谷地さん 社会に出ても同じように過ごそうと思えばできると思うんですけど、環境が変わってくる。

何か生み出したいとか、何か面白いこととか実現したい!と思えば思うほど、いろいろな意見・思いの人たちと会話をして、一緒に仕事をしなきゃいけなくなってくると思うんです。

 ―――でも学校だとその練習ができない。

向谷地さん そうなんです。私が気がついてないだけかもしれませんが、ほとんどできてないと思います。だから、私は学生時代にやりたいことをやりました。やらせてもらったって言う方が正しいですね。歌いたいと思ったら歌ったし、演劇をやりたいと思ったら演劇をやりました。その経験は、普段ただ生活しているだけでは接点が生まれないであろう人たちと関わるきっかけになりました。

 ―――それが練習になった。

向谷地さん はい、練習には、それでも全然足りてないと思います。実際、私自身がそういった能力で他の人と比べるとダントツで低いと思います。練習をしていない人が、練習できていない人を育てているという。

 ―――考えさせられますね。そんな中で向谷地先生はどんな取り組みをしているんですか?

向谷地さん 特別なことはしていません(笑)授業の合間を縫って給料の話から恋愛の話まで、思いつく限りで自分の知っているすべてを話そうとは意識しています。

%e5%90%91%e8%b0%b7%e5%9c%b002 

―――なんで、そんなことやっているんですか?

向谷地さん 私自身、社会に出た時にわからないことだらけだったんです。小中高大と16年も学校に通ったのに。これわかんなかったら困るなあって。例えば高校生が就職先を探すときに、給与欄だけ見て、給料高いからってだけでエントリーして、合格して、働くために地元を出て、働き始めたら生活費、税金、保険料、交際費とかかって、赤字になって、どうにもならなくなって、仕事辞めて、マイナスになって地元に戻ってくる。学校は優しいのに、社会は厳しい。

―――面白い指導だと思います。評価はどのように行っているんですか?

向谷地さん 教科に関しては具体的に評価方法が決まっていて、それに準じて評価します。ただ、生徒の取り組みに対しての評価、生徒会でいうところの、行事が終わった後の評価に関しては色々と考えて取り組んでいます。

 今の生徒会では、具体的な目標を設定するところから企画を始めています。人前で40分間発表するときには「下を向いてしまう人を200人中10人までに抑える」こと、球技大会では「執行部9人で2日間20万歩」を目標にして、これまですべて達成してきました(結果、下を向いた人は0人で、球技大会では22万歩以上動き回り、役割を全うしました)

きっと、評価って人からされるものでもなくて、自分でするものでもない。時間をかけ過ぎなくらいかけて、具体的な目標を立てて、やってみて、終わったら事実を確認する。他からの低い評価は、その人にとっていい影響はほとんどないような気がします。

 ―――なるほど・・・

向谷地さん 褒めて伸ばそう!っていう全体的な流れですが、褒められる予定を立てておかないと、終わった後で褒めるところがない。

 ―――今、現場で挑戦したいことはありますか?

向谷地さん 新しいツールはどんどん使って授業を展開したいです。学校で勉強したことを、まちづくりなど外部の活動につなげられるような取り組みを進めたいです。

%e5%90%91%e8%b0%b7%e5%9c%b004 

―――話は少し変わりまして、青森大学へ進学した理由を教えてください。

向谷地さん きっかけは剣道でした。小学校から剣道を続けてましたし、将来的にも続けていこうとは思っていました。それと、出身が三沢商業高校だったので、経営学部の勉強にも興味がありました。教員免許もとれるようだったので、取れるだけ取りました。

あと、なにより歌手になりたくて。大学に行けば自分の好きなことに4年使えるっていうのは大きかった。

 ―――経歴を聞くと、色々挑戦をしながら、押さえる場所は押さえていたんですね。役に立った資格などはありますか?

向谷地さん 大学時代に取った初級システム・アドミニストレータ試験(現在は、ITパスポート試験)です。これは今の仕事にも生かされていると思います。

 ―――演劇は役に立った?

向谷地さん わかりません(笑)指導できる部活の欄には剣道と演劇を書きました。

 ―――先生以外の進路はあったのですか?

向谷地さん 大学4年間は本気で歌手になるつもりでいました。親にも25歳まではプー太郎でいますって宣言もしましたし(笑)

でも一歩を踏み出さなかった、出せなかったのか。歌でお金を稼ぎたいわけじゃないと気づいたんです。その時に、今の仕事から声がかかったのがきっかけです。

でも未だに、歌わなきゃいけない使命感は持っています。これまでに原発の方々、町の人、職員、高校生、吹奏楽などと一緒にライブもしてきました。現在も面白い人達と一緒にチャリティでイベントなどに出させてもらっています。

%e5%90%91%e8%b0%b7%e5%9c%b003

 

 ―――就活で苦労した点はありますか?

向谷地さん 自分なりにはかなりもがいているつもりでした。周囲からするとかなり的外れに見えていたと思います。一般的な就職活動みたいなものは一切しませんでした。そこにひょっこりチャンスが現れて。

「チャンスはつかめない、木の実がチャンスだとしたら、取りに行けば数個しか取れない。しかも、木から落ちるリスクだってある。だったら木の下でかごを編んでいたほうがいい。一つ編んだら木の実の下に置いておく。食べたい木の実がかごに入ったら、それを食べる。近くで見てみたらそうでもなかったならそれを売ってかごを買う。自分にとって、より楽に、より美味しい方を獲っていく。時に登ることも必要だけど」とか偉そうに生徒に話すんです(笑)資格取得も仕掛けた網の一つですね。

―――面白い考え方ですね。いつからそのように考えるようになったのですか?

向谷地さん 小学校の時、人前で初めて歌って、それからというもの当たり外れを感じるようになりました。自分の中では最高の選択をしても、お客さんに認めてもらえない時が沢山ありました。聞いてもらえるような選曲、工夫、バランスも必要だと感じました。ひとりよがりに実を狙っても、手に入らないことのほうが多い。

―――先生の魅力はなんですか?

向谷地さん 成果が見えないことです。終わりが見えない。私の場合、終わりが見えちゃうと辞めちゃうんです。私はポイントを掴むのが早いのが長所だと思っています。だから、結構なんでもそこそこにできてしまう。でも、先生という職は全然掴めない。面白いです。正解がない。ポイントもない。当然、学生一人ひとり違う。やめないのではなく、やめられない。自分の中では、毎日事件事故連発です。今は、天職だと言いたいです。

 ―――先生をやってびっくりしたことは他にありますか?

向谷地さん 大間に転勤したときに、生徒たちが大学時代にやった演劇のオリジナル主題歌を歌っていたんです。びっくりしました。なんで知っているのか聞いたら、スマホで先生の名前検索したら出てきたと返されました。

 

(演劇のオリジナル主題歌の動画) 

 

―――今の学生は、そんな風に先生を調べているんですね。

向谷地さん 動画見たよ!とか、歌の動画見つけた!とか。うちのおばあちゃんが寝る時に毎日聞いてるとか(笑)面白いなあと思いました。

―――音楽はいつから始められたんですか?

向谷地さん 中学の時にギターをはじめました。父に、2週間後にライブあるから、ギター弾いて歌ってとポンと渡されました。ギャラも出るよと。やったことないのに(笑)30分で2万円!やばい、これはやらなきゃ!出るからにはちゃんとしなきゃって、責任感が出てきました。

―――凄いですね。今の生徒たちのアプローチとは随分違うんじゃないですか?

向谷地さん そうですね。無茶苦茶な要求をしてくる人が減っている気がします、世間的にも。無茶苦茶が許されるような関係を築きにくくなったのでしょうか。殻を破るには“ある程度”無茶な要求も、それに応えようとする“ある程度”無茶な行動も必要になる場面があるんじゃないかなと。

自分だけで破ろうとすると難しいから、外側からも破ってもらう必要があると思います。

 ―――

向谷地さん 物事を面倒に考えたり、正解が見えるのが嫌なんでしょうね。

剣道はカタチから入ります。でも、バスケットボールはプレイから入るんじゃないかな。学校では型から外れるとダメだと習ってきました。だから私は、あえて型から入らないように心がけています。とりあえずやってみよう、無理だったら、じゃどうしようと。

―――なかなか大変じゃないですか?

向谷地さん 大人が大人に真顔で怒られます(笑)でも、そういうこと、必要じゃないですか?そんなことが、人を笑顔にするもこともあると信じています。

―――最後に。後輩たちへメッセージをお願いします。

向谷地さん 落ち着いて、一歩ずつ着実に、面白い目標に向かおう。失敗してもいいじゃない。

 

ありがとうございました。これからも向谷地先生の挑戦、楽しみにしています!